2007年 日本穀物科学研究会

第132回例会

2007年12月1日(土)13:30よりホテルアウィーナ大阪にて第132回例会を開催いたしました。。 
テーマ  
 『トランス脂肪酸の生成によるリスクと食品業界における対応について』

講演
トランス型脂肪酸の現状と今後
                                    月島食品工業株式会社 研究所   市岡 健司 氏

1.トランス型脂肪酸とは
              @トランス型脂肪酸とは
              Aトランス型脂肪酸のリソース→水素添加、加熱、乳脂肪、畜肉関係
              B特長→融点、結晶性
              C健康リスク→生活習慣病と調査の歴史

2.国内外の規制および表示義務状況
              @海外の状況
                            アメリカ
                            ヨーロッパ
                            アジア
              A日本の状況

3.生活者の状況

4.食品サプライヤーの対応
              @流通
              A食品生産メーカー

5.油脂メーカーの対応
              代替技術について
                            油脂原料面
                            添加物面

6.今後の展開(技術的側面から)
              @結晶面の課題
                            結晶状態
                            結晶生成速度

              A風味の課題
                            フライオイル
                            パイペストリー用マーガリン

              B代謝機構の課題→分子種的側面

市岡 健司氏
 
 トランス脂肪酸の周辺技術〜乳化剤のパーム油改質効果〜
                        三菱化学フーズ株式化社 市場開発部マネージャー  廣瀬 友和                

1) はじめに

油脂はグリセリンのトリアシルエステル(トリグリセリド)の混合物がほとんどである。そのアシル基の主体が不飽和結合を持つものであれば室温で液状の油脂となり、飽和が主体であれば固体脂となる。その不飽和部位に水素を部分付加させて飽和脂肪酸とすることにより、任意の硬さや融点を持つ油脂の物性にコントロールすることが可能である。しかしながらその工程で副生するトランス酸は健康障害因子の一つと言われている。そこでトランス酸を減らす、若しくは無くす一つの手段として、水素添加の硬化油の代わりに天然の半固体油脂であるパーム油を用いることがあるが、パーム油は保存中に結晶が粗大化し、製品の品質に悪影響を及ぼすことがある。

本講演では、そのようなパーム油の結晶粗大化に関する乳化剤:ショ糖脂肪酸エステルやポリグリセリン脂肪酸エステルの添加効果について紹介する。

2)      油脂改質効果

パーム油の結晶粗大化の要因は、対称形トリグリセリドであるPOP組成を多く含むためβ型へ結晶多形転移が起こり、偏析及び凝集化しやすいためと考えられている。ショ糖脂肪酸エステルやポリグリセリン脂肪酸エステルなどの乳化剤は、ア)結晶化速度の調整、イ) 結晶成長の抑制、ウ) 結晶多形転移の抑制などの油脂結晶改質効果があることが知られている。パーム油では写真1に示すようにHLB1のパルミチン酸やステアリン酸のシュガーエステル(P-170、S-170)などによって結晶の粗大化を防止した。

3)      まとめ

トランス酸代替技術としてパーム油を利用するにあたり、パーム油の油脂結晶粗大化といった問題点を解消する乳化剤の効果について述べたが、実際の食品系では水、蛋白など他の構成成分との相互作用、製造条件及び保存条件など大変複雑で、単純な試験で得られた結果がそのまま反映されるものではない。しかしながら、油脂のトリグリセリド組成や乳化剤の脂肪酸組成、分子構造に着眼すれば、油脂へのある程度の乳化剤添加効果が推測できると思われる。

廣瀬 友和氏 
 総合討論
偲ぶ会

 懇親会





米澤先生
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