2005年 日本穀物科学研究会

第121回例会

2005年1月21日(金)13:30より高津ガーデン(大阪市天王寺区東高津町7-11)にて第121回例会ならびに総会をを開催いたしました。 
テーマ  
 『食品の安全性におよぼす昆虫および農薬汚染の現状と今後の課題』


講演  ゴキブリの習性と防除方法
                        住友化学褐、究グループ生活科学グループマネージャー  松永忠功 氏
 ゴキブリ類はゴキブリ目に属する昆虫の総称である。昆虫としては比較的原始的な形態を残しており、祖先種は4億年ほど前の古生代に出現したと言われている。現在世界に約4000種、日本ではそのうち約50種が分布している。多くの種の元来の生息域は屋外の森林であるが、人間の住環境に適応性を示す一部の種が家屋内に侵入、繁栄し衛生害虫となっている。日本国内において、衛生害虫として認識されている種は10種程度であるが、そのなかでもチャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ヤマトゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリの5種が重要である。この中でチャバネごきぶり、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリの3種については、元来熱帯地方のみに分布していたが、人間の住環境の発達にともない日本のような温帯地域にも分布を広げたと言われている。
 現在の日本の衛生環境であれば、これらゴキブリ類が病原菌を媒介する危険性は低いと思われるが、ゴキブリ類は多くの人に対し強い不快感や不潔感を催させ、これが駆除すべき対象害虫としてゴキブリ類が重要な地位を占める最大の要因となっている。
 ゴキブリの駆除手段としては、@エアゾール、乳剤等の散布財、A加熱し殺虫成分を蒸散させる燻煙剤、B誘引作用を持った餌の中に殺虫成分を含有させた毒餌(ベイト)剤等が開発、実用化されている。@、Aの有効成分として最も多くしようされている、合成ピレストリン殺虫剤は、除虫菊に含まれるピレトリンを構造改変して開発された殺虫剤で、ゴキブリ類に対し高い殺虫効果と仰天(ノックダウン)させる即効性を有するとともに、人畜に対し優れた安全性を示すのが特徴である。
 今回の講演では衛生害虫としてゴキブリの生態について解説するとともに、各種防除手段の特徴さらには、それに使用される殺虫剤の特徴についても述べる。  
松永忠功氏
  食品検査機関への検査依頼の現状と残留農薬のポジティブリスト制の導入について
                          (財)新日本検定協会 SK阪神分析センター センター次長 中田邦彦  

我々の食生活の多様化や価格競争および流通における技術が進んだことなどにより、輸入食品が多くなってきております。今後、この輸入食品は増えることはあっても、減ることはないと言われております。一方、これら食品の安全性については、輸入食品については厚生労働省管轄の検疫所等の食品監視課等が担当しています。また、国内の流通しているものについては各都道府県などの保健所や衛生検査所などが検査しております。
 最近、大きなものでは堺市で起きたO157での集団食中毒事件や、輸入牛のBSE問題、最近においては、ノロウイルスなどの食中毒事件などさまざまな食品をめぐる問題が小さなものも含めると毎週のごとく新聞紙上を賑わせております。
 今回は、輸入食品の衛生管理における私ども食品衛生法に規定されている登録検査機関の役割およびどのような体制でおこなっているかについて説明させていただく予定でおります。
 登録検査機関は、現行の前の食品衛生法の15条第3項で規定されていた指定検査機関が改正された食品衛生法26条で規定されるようになったもので、主に輸入食品の命令検査を実施し、その検査結果を厚生労働省に報告し、その結果をもとに検疫所食品監視課等は食品の輸入の可否などを決めてゆくことになります。
 検査結果については、行政不服審査の対象外となっております。この輸入食品の検査は、分析行為のみでなくサンプリングから証明書発行までが仕事の内容となっています。そこで当センターで実際に行っていますGLP(Good Laboratory Procedure)に従った試験品の情報の収集、倉庫内での貨物の確認作業、検査項目等に妥当性のある試験品採取、また、妥当性のある分析方法による試験業務の実施など、信頼ある検査結果を出すための一連の作業内容および信頼性確保の方法などについて説明させていただく予定でおります。

中田邦彦氏 
総合討論
総 会


 懇親会
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関西穀物科学研究会事務局 林 孝治(Tel 06−6731−0095、Fax 06−6731−0094
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